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2016.05.06

【コラム】高血圧症は肝・腎の傷害から

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 日本で二千万人もいるといわれる高血圧症には、さまざまな漢方医学の治療法があります。

 西洋医学では、高血圧の原因をストレスや交感神経の興奮、ホルモンの失調などから説明しますが、漢方医学では内蔵、特に肝・腎の機能傷害によるものとされています。

 なかでも高血圧症に最も関係の深い内蔵は肝です。漢方でいう肝には、精神活動を調節する作用があり、精神的なストレスがたまると、肝臓の働きが停滞する、という病態になります。
そして肝鬱が生じてくると熱性の症状が出やすくなります。肝火は上昇する性質があるので、頭部を中心にめまい、頭が張って痛む、イライラ、顔面紅潮、目の充血、舌苔が黄色く、尿の色が濃いといった症状を呈するようになります。

 このような肝火上炎タイプの高血圧症に最も適した処方は竜胆瀉肝湯であり、肝の緊張を解き、頭部の熱症状を鎮めることによって血圧を安定させます。
生薬ではウツボグサやクコの根皮、羅布麻など、食品ではセリやクロクワイ、くらげ、大根などがよく用いられます。また、お湯に釣藤鈎を入れて足を洗うといった簡単で有効な方法もあります。

 なお、血圧が高い人の便秘は脳出血の誘因になりやすいため、快便を保つことが大切です。高血圧症で便秘症を伴う場合には、清熱薬に下剤を配合した三黄瀉心湯がよく用いられます。また、便通と降圧両方の作用を持つ生薬としては、決明子、エビスグサ、アロエ、大黄などが知られています。

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袁先生
袁世華
昭和16年中国の吉林省生まれ、長春中医学院医学部卒業後、同大学の助手、講師、助教授、教授を歴任。
1988年3月来日、東邦大学医学部心療内科、産婦人科、北里大学医療衛生学部の客員研究員,情報科学研究所東洋医学研究室の主任研究員を経て、現在、杏林中医薬情報研究所所長を務め、日本全国各地で漢方医学の講義、新聞や健康雑誌の原稿の執筆を行う。
著作は『金匱要略訓解』、『西洋薬の副作用の中医治療』、『心身医学概論』、『婦人の宝・当帰』『ペイチー茶驚異のパワー』、『健康増進とリスク研究』、『痛みを根元から断つ』 、『漢方薬よく分かる本』『漢方から見たノニ』など多数。